【獣医師コラム】行動療法の報告

実際のわんちゃんとは異なります

行動療法認定医へ相談し、大きなひとつの目標をクリアすることができたわんちゃんの話をご紹介します。

このわんちゃんは地方で保護され、ボランティア団体で成長期を過ごし、今のお宅に先輩犬と共に譲渡されました。
多くの方がご存知のように日本犬やその雑種の特徴として、警戒心が強く繊細なところがありますよね。

去勢手術などの影響もあったのでしょう。動物病院、男性(獣医師)への恐怖が強くなり、受診が難しくなっていました。

また、同じようなタイミングでお散歩時にもコントロールがきかなくなってしまうことがあり、飼い主さんもお困りでした。
最初に散歩時の問題について相談を受けたときには、バッチフラワレメディを処方したのですが、それだけでは問題の解決まではならず。

そこで対応策を行動療法認定医に相談しつつ、ドッグトレーナーの力も借りながら、そして何より、飼い主さんが日々の対応を
しっかりと取り組んでくださいました。

幸い、私への警戒心は比較的低く、少しずつ動物病院にも慣れてくれて、先日、最初の目標であった狂犬病の予防注射を無事に接種完了。
この子にとっては、大きな一歩。

じっくりと時間をかけて不安を取り除きながら、自信をつけてもらうことを大切にしました。

無理をすれば、接種自体はできますが、さらに動物病院や獣医師への警戒心を強くすることは避けたく、みなでタッグを組んで取り組めたことに大きな意味を感じています。
今後も課題はありますが、あのご家族となら、一歩ずつ一緒にクリアしていけることでしょう。

警戒心が強い子は観察力も高いように思います。そして、しっかりと学習をしています。その学習は私たちの意図したものと違うことも・・。

お互いに穏やかに過ごせるよう、分かりやすく学習を積んでもらうことが大切ですね。

飼い主さんからの気持ちも預かっているので、それはまた次回にでも紹介したく思います。

私も席を置いている、日本獣医動物行動研究会は、行動療法を取り入れている動物病院、認定医が紹介されています。

行動療法の必要性を感じたら、ご検討ください。